正月前に押さえておきたい、神棚の正月飾りについて

神棚の正月飾りとはどのようなものかご存知でしょうか。
天災や季節の変化のように人の力が及ばない自然の力は、古来より神と崇められ信仰の対象となっています。神棚は、そんな信仰に欠かせない神をお祀りする大切な場所で、時期・季節によって飾り方が異なります。ここでは神棚の正月に向けた飾り方について紹介しますので、神棚が自宅にあるものの飾り方がわからないという方や、神棚を購入予定の方は、ぜひ参考にしてください。

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神棚の誕生

神棚を祀る文化が誕生したのは江戸時代の中期と考えられています。その頃、伊勢神宮の御神徳を全国各地に説いて回る「御師」が出現し、伊勢神宮の御神札を配るようになりました。この御神札を祀るために誕生したのが神棚と考えられています。また、当時の神棚は簡素な造りでしたが、時代を経るにつれて現在のような宮型の造りになったといわれています。

神棚の設置場所

一般的に、新しい神棚を祀る場合は神職の方に清祓をお願いします。日時は大安吉日が良い、時刻は休日の午前中が一般的などさまざまな説がありますが、家族が全員揃って行うことができる日時を設定することが一番大切です。神職の方と相談して日時を決めましょう。

神棚の設置場所については、「ここが正解」という厳密な決まりはありません。とはいえ、気を付けておきたい点はあります。
設置は、家族の誰もが毎日のように目にすることができる、明るく清らかな場所にするのが一般的です。お参りする方々の目線よりも高い位置が良いでしょう。また設置の際は、神棚の正面が南か東を向くように祀るのが望ましいとされています。
望ましくない場所としては、トイレやその付近、または人の出入りが激しい場所、仏壇の向かいなどが挙げられます。

神具とお供え物

神棚を設置する際にはいくつかの神具を揃えます。一般的には、榊を立てる「榊立(さかきたて)」、お酒を入れる「瓶子(へいじ)」、お水を入れる「水器(すいき)」、そして「神鏡(しんきょう)」や「皿(かわらけ)」などが必要です。

お供え物は、神棚の中央にお米、向かって右側にはお塩、左側にはお水を置いて飾るのが慣習です。

また、榊立に飾った榊は毎月1日と15日に交換するのが一般的です。それ以外の日に枯れた場合は、その都度交換しましょう。
特別な日には特別な飾り方があります。例えば家庭内の祝いごとの場合は、お神酒(おみき)や尾頭付きの魚、季節の野菜や果物などをお供えします。

神棚には、おお供え物以外にお札を祀ります。お札にはさまざまな種類があり、また種類によって祀る場所が異なります。
まず神宮大麻(じんぐうたいま)は天照大神(あまてらすおおみかみ)のお札で、八百万(やおよろず)の神の中で最も尊いと考えられています。そのため、飾り付けは最上位の中央です。
次に上位とされるのは向かって右側で、産土神(うぶすながみ)や氏神様(うじがみさま)のお札を祀ります。
向かって左には自分が祟敬している神社のお札を飾ります。

飾られるお札の数は、三社造りの場合3枚が一般的ですが、それ以上でも問題ありません。飾り方は、氏神様のお札に重ねるという説と崇敬神舎のお札に重ねるという説がありますので、清祓の際神職の方に尋ねましょう。神宮大麻のお札には絶対に重ねないようご注意ください。
一社造りの場合は、一番手前に新宮大麻、次に氏神様や産土神、その後ろに崇敬神社の並びで飾ります。

正月飾り

年末には、年神様(としがみさま)を迎えるために正月飾りを行います。
まず、一年の無事を感謝しながら掃除をしましょう。掃除の具体的な時期に関しては、12月の29日と31日を除いた吉日にするのが良いといわれています。29日は「二重苦」を連想させ、31日は新年の前日であることから軽んじていると考えられているため避けるのが一般的です。

主な正月飾りには、しめ縄と鏡餅があります。

しめ縄

しめ縄は一年を通して飾ることができますので、既に飾っている場合はしめ縄に正月飾りを施します。正月飾りは1月7日に外すのが一般的といわれています。また、そのタイミングで交換すると、1月15日に行われるどんど焼きで処分することができます。
種類は太さが一定のものと左右の太さが異なるものがあり、左右の太さが異なるものは「大根じめ」と呼ばれます。「ごぼうじめ」と呼ばれる細めのしめ縄もあります。取りつけ方には地域差がありますが、多くの場合は神棚に向かって右が太い方になるように取りつけられます。

鏡餅

正月準備として、玄関や床の間に鏡餅を飾る家庭は多いでしょう。鏡餅は、正月飾りとしてお米の替わりに神棚に飾ることができます。
基本的には、まず三方(さんぽう)と呼ばれる奉書紙や四方紅(しほうべに)と呼ばれる四方が紅く彩られた和紙の上に、紙垂(しで)や裏白(うらじろ)、譲り葉(ゆずりは)を置きます。そこに鏡餅を乗せたら橙(だいだい)や昆布を飾って完成です。橙が置かれるのは、果実は冬に熟しても落ちにくく1本の木に何代にもわたって果実がなることから、家族の繫栄を示しているためといわれています。
地方によって飾り方に違いがあり、黒豆や伊勢海老、するめなどの縁起ものを飾ることもあります。飾られた鏡餅は、1月11日の鏡開きで食べるのが一般的です。

まとめ

神棚に関する基本的な事柄と、正月飾りについてお伝えしました。日本人の文化と深い関わりのある神棚。神棚や正月飾りの意味を知り、年末年始に備えましょう。これまで正しい神棚の飾り方を知らなかったという方は、ぜひこれを機に正しい作法で神様を祀りましょう。
神棚や神具に関してご不明な点がある方や、神棚の設置を考えているという方は、お気軽にご相談ください。