神様の数え方「1柱」、では仏様の数え方は…? 日本人が知らない仏様・神様・仏壇・僧侶・ご位牌を数える時の単位

意外と知られていない神様や仏様の単位、あなたはご存じでしょうか?

人間と同じく「1人、2人(ひとり、ふたり)…」と数えるのも間違いではないのですが、日本語には神様や仏様を尊重した数え方がちゃんと用意されているのです。

今回は、そうした神様・仏様の数え方をはじめ、やはり知られていない仏壇やご位牌、僧侶の数え方についてお伝えします。

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神様の数え方は「1柱、2柱、3柱」

神様の数え方は「1柱、2柱、3柱(いっちゅう、にちゅう、さんちゅう)」と数えます。
これは、日本の神社の信仰が「ご神体」をお祀りするものだったころ、遠くからでも見えるような大きな樹木などをご神体としてお祀りしていたことから呼ばれました。
そうした大きな樹木=神様であったことから、数え方が「柱」となったとされています。
 
また、木の柱は、天界と地上を結ぶ霊的な通り道であるとも考えられてきました。
伊勢神宮の正殿の中央にある柱を「心御柱(しんのみはしら)」と呼ぶことや、長野県諏訪退社のお祀りの「御柱祭り(おんばしらまつり)」などは、この考えや呼称がもとになっているとされています。
 
なお、文献や著者によっては、わかりやすさを優先して「1神、2神(いっしん、にしん)」と記載しているものや、単純に「1人、2人(ひとり、ふたり)」と記載しているものもあります。
上記の通り、「1柱」という呼び方は神道における考え方がもとになっていますが、神仏習合の考え方から、文献等によっては仏様も「柱」で数えられることもあります。

仏さま・お地蔵さまの数え方は「1尊、2尊、3尊」

仏さまの数え方は「1尊、2尊、3尊(いっそん、にそん、さんそん)」です。
この由来は、お釈迦様の呼び方である「世尊」という言葉がもとになっていると言われています。
世尊とは、仏さまは世界あらゆる生き物にその功徳を行き渡らせることから、仏さまの尊称としてこのように呼ばれました。
このことから、仏さまそのものを数える場合に「1尊、2尊、3尊(いっそん、にそん、さんそん)」と数えるようになったと言われています。
なお、お地蔵さま(地蔵菩薩)もこの数え方で呼ばれる場合があります。

このほかに、「1仏、2仏(いちぶつ、にぶつ)…」という数え方もあります。
この呼び方は上記の1神と同じように、わかりやすさを優先して著者が選んだ場合に見受けられますが、仏教的にはお釈迦様以前の時代にこの世に現れたとされる仏様を「過去七仏」と呼ぶ言葉があり、それを背景に使用しているケースもあります。

仏壇店などで、仏像を数える場合は「1体、2体(いったい、にたい)…」と数えることがポピュラーですが、他にも美術品として「1座」「1座像」「1軀・1躯(いっく)」「1頭(ひとかしら)」などと呼ぶ場合もあります。

仏壇の数え方は「1基」「1台」「1本」などがある

では仏壇店は仏壇をどのように数えているかというと、お客様へのわかりやすさを優先して「1台、2台(いちだい、にだい)…」と呼ぶことが最も多いように思われます。

その他には「1基、2基(いっき、にき)…」という数え方もあります。
この「基」というのは通常動かないもの(あるいは動かしにくいもの)を数える昔ながらの単位であり、一度設置するとあまり動かさない仏壇をこのように数えたようです。
1台、2台と呼ぶよりも「基」のほうが重厚感があるということで、この呼び方を使用している仏壇店も多数みられます。

他には「1本、2本(いっぽん、にほん)…」と呼ぶお店もあり、こちらは仏壇メーカーや仏壇職人さんに多い傾向があります。
この呼ばれ方の由来に明確なものはありませんが、彼らは作品として仏壇を作成してから販売するところまでを一貫して行うため、自分の仕事として1つの仏壇を「1本」と呼ぶ習慣が出来たのではないでしょうか。
また、そもそも「本」は縦に長いものを数える単位です。従来からの置き型の仏壇は縦に長いものであるため、本と呼ばれた可能性もあります。

僧侶の数え方は、位が高い場合は「1方」、他にも「1口」なども

位の高いお坊様、歴史的に聖人と呼ばれるような高僧の数え方に「1方(ひとかた)」というものがあります。
ただこの呼び方は、歴史上の人物などで使われ、一般的なお坊さんを呼ぶ場合には少し仰々しすぎるきらいもあります。

通常、法要などで僧侶を呼ぶ場合には「1名、2名(いちめい、にめい)…」「1人、2人(ひとり、ふたり)…」で全く問題はありません。

古典の世界では「一口、二口(いっく、にく)…」という呼び方もみられ、日本書紀などでは一般の人は「人」、僧侶を数える場合は「口」と明確な使い分けが見られます。
このほか、「江戸名所図会」では『時に寺僧五十口(ごじっく)ばかり食堂(じきどう)に集会するところに…」という記述も見られ、日本書紀の時代から江戸時代までこの呼び方が残っていたことが伺われます。

位牌の数え方は「1柱」「1基」「1本」「1個」など

では仏壇に安置する「ご位牌」はどのように数えるでしょうか。
これも仏壇店により使われ方が分かれるところですが、特に「開眼供養(開眼法要)」をして、魂をこめたものは「1柱、2柱、3柱(いっちゅう、にちゅう、さんちゅう)…」と数えられます
亡くなった方は神様や仏様に近い存在になるということで、個人を尊んで神仏と同じ数え方をするという考えに基づいています。

しかし、通常ご位牌は「開眼供養(開眼法要)」を行って初めて、魂のこめられたご位牌となりますが、販売中の物はまだ開眼供養を行っていないために、「1基」「1本」と呼ぶ仏壇店もあります。
最近では、オンライン販売などの兼ね合いもあって、商品として「1個」と数えて販売している店舗も見られます。
開眼供養前の状態では、上記の「柱」と呼ぶにはそぐわないという考えで、こうした数え方をしているものと思われます。

まとめ

以上、意外と知られていない神様・仏様の数え方はいかがでしたでしょうか?

仏壇店に行く前の豆知識として、参考になれば幸いですが、一方で普段あまり使わない単位で馴染みがないと感じたかと思います。

そして、仏壇店でスタッフとお話しするときに、わざわざこうした正式な単位を使用する必要があるかというとそんなことはありません。仏壇を「1台」でも、仏像を「1体・1個」でも、呼びやすい方法でお伝えいただいて構わないのです。

多くのお客様は仏壇や仏像を購入するのは生涯に一度あるかないかのこと。馴染みがないのも無理はありません。
仏壇店のスタッフは、そうした背景も汲んで優しく説明してくれることと思います。特に、大切なのは単位ではなく、ご先祖さまや故人をお祀りしようという気持ちですので、どうぞ気軽に仏壇店に足を運んでいただけたらと思います。