お盆に先祖の霊を迎えるために準備する盆棚。昔はどの家でも見られた夏の風物詩といえるものでした。しかし、最近はライフスタイルの変化や都市部の住宅事情などの理由で、新盆だけ盆棚を飾るというケースも増えています。
そのため、盆棚の飾り方や作法をきちんと知っている方も、めっきり少なくなりました。そこで今回は、盆棚の概要や飾り方、地域や宗派による違いなどについて説明したいと思います。
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盆棚とは、お盆に先祖の霊に供物を備える棚のことです。地域によっては、精霊棚や先祖棚と呼ばれることもあります。最近は、仏壇の前に飾ることが多いのですが、以前は庭先や玄関、お墓などに飾り、先祖の霊を迎え入れる祭壇として用いられてきました。
盆棚を作る時期は、お盆前が一般的です。盆棚の飾りつけには、机や台の上にマコモのゴザを敷いて位牌を安置し、燭台、花立て、香炉と一緒に飾ることが多いです。また、周囲には、動物の形などをあしらった季節の野菜や果物、故人の好物などをお供えします。
盆棚飾りの意味
盆棚には色々なものを飾るのですが、それぞれどのような意味があるのか説明していきます。
仏教にみられる文化
盆棚飾りのそれぞれの意味とは
盆棚には、先ほども説明した通り、位牌と燭台、花立て、香炉のほかにもさまざまなものを飾ります。
マコモのゴザ
盆棚飾りは、マコモというイネ科の草で作ったゴザの上に飾ります。お釈迦様がマコモで作った寝床の上で、病人の治療を行ったことに由来するといわれています。
精霊馬
キュウリとナスで馬や牛型の人形を作ったもので、盆棚飾りの中では、特に印象的なものだと思います。
キュウリとナスを、先祖の霊の乗り物に見立て、馬には、早く先祖の霊に帰ってきてほしいという意味が、牛にはゆっくりあの世へ戻ってほしいという意味が込められているのが一般的です。
それとは逆に、牛にはゆっくり丁寧にお迎えしたいからという意味を込め、馬には急いで帰ってもらうためという意味を込める地域もあります。また、牛には、供物を乗せて持って帰ってもらうという意味もあります。
盆提灯
分提灯は、お盆に先祖の霊が戻ってくる際、迷わないための目印という意味が込められています。そのため、軒先や盆棚の横に飾ったりするのが一般的です。
ほおずき
ほおずきには、霊に還ってくる場所を示すという意味があります。盆提灯に似ていることから、このような意味を持つようになったという説が有力です。
笹竹
笹竹には、結界を張るという意味があるとされています。笹竹に縄を張り、結界に見立てて張りめぐらせます。
水の子
水の子は「水の実」と呼ばれることもあり、洗った米とサイの目に切ったキュウリやナスを、蓮の葉の上に盛り付けたものが一般的です。
戻ってきた先祖の霊が、渇いた喉を潤せるようにという意味が込められているそうです。
閼伽水(あかみず)とみそはぎの花
閼伽水とは器にきれいな水を入れたものです。中に5~6本くらいのみそはぎの花を添えて飾ります。先祖の霊があの世から戻ってくるときに、一緒に付いてきた悪霊を祓うという意味が込められているそうです。
盆花
盆花には、キキョウ、ミソハギ、ハギ、おみなえし、ゆりなどが飾られます。元々は、盆花迎えと呼ばれる、先祖の霊が盆花を依代(よりしろ:神や霊が宿るものの意味です)に家に戻ってくるという行事が行われていたことから、飾られるようになったということです。
素麺
素麺は、先祖の霊が戻ってくるときに乗る、馬の手綱に見立ててお供えするといわれています。
その他
季節の野菜や果物など、さまざまな食べ物をお供えするのは、お腹をすかせた先祖を供養するためといわれています。
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盆棚飾りをする期間
盆棚飾りは、いつ飾るのでしょうか。通常のお盆と、初盆の違いも含めて説明します。
飾る期間
盆棚飾りは、お盆の期間中だけ飾ります。地域によって7月にお盆を迎えるところもあれば、8月に迎えるところもあります。
通常、一般的なお盆の期間とされている、8月13日~16日(7月13日~16日)に飾ります。また、前述したように先祖の霊は提灯の明かりを目印に戻ってくるため、お盆初日の夕方までに盆棚や軒先、玄関などに、盆提灯を飾るようにしましょう。
片付けるタイミングは、16日の送り火が終わった後、お盆明けの17日以降とされています。ちなみに、盆棚を飾りはじめる日程には特に決まりがないため、お盆前のなるべく早い段階で準備するのがよいでしょう。
また、地域によっては7月7日に飾るところもあるなど地域差もありますので、あらかじめ確認しておきましょう。
初盆の場合
新盆(にいぼん、しんぼん、あらぼん)とも呼ばれ、家族や身内の49日が終わった最初の年のお盆です。初盆の場合は、通常のお盆と盆棚を飾りはじめるタイミングが異なり、7月、または8月のお盆のある月の上旬には飾りはじめるのが一般的です。
遅くとも12日~13日の夕方までには済ませましょう。ただし、旧暦の7月15日、8月20日前後、9月頃にお盆を行う地域の場合は、前日から当日の夕方までに飾りを済ませます。
盆棚飾りの基本形(棚の形、飾るものの内容と配置、お供え物の地域色の濃さ)
棚の形
盆棚の形は、棚の四隅を支柱で支える形のものと、ひな壇形のものが一般的です。しかし実際には、自宅にある適当な大きさの机を使ったり、葬儀の際49日まで使用した後飾り用机を使ったりすることも多いようです。
また、静岡県の浜松など、お盆の供養を盛大に行うところでは、祭壇を飾ることもあります。
地域や風習によって使う棚の形も異なりますので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
飾るものの内容と配置
支柱形の棚の場合は、マコモのゴザを敷いた棚の四隅に青竹を立て、その上に縄を張って結界に見立てます。縄には、ほおずきや昆布、みそはぎ、素麺などを吊るします。盆棚の一番奥の中央には、位牌を並べることが一般的です。
その手前には、香炉、花立て、燭台を置きます。一緒に、閼伽水や季節の野菜や果物、水の子、素麺、精進料理を供えた霊供膳なども飾ります。いっぽう、ひな壇形の棚の場合は、マコモのゴザや金襴を敷き、最上段に位牌を安置しお供え物を並べていきます。
盆提灯は、盆棚の左右の端に飾ります。また、キュウリの馬とナスの牛は、麻がらを刺して飾ります。水の子を飾る場合は、お盆の間は毎日新しいものを作ってお供えする必要があります。
生花も飾る場合は、朝顔などツルのあるものや、棘のあるバラは避けるようにしましょう。ほかにも、故人の好きだったものを飾るのもよいでしょう。
お供え物の地域色の濃さ
お供え物の内容は地域によって異なる部分も多いと説明しましたが、具体的な事例を紹介したいと思います。
北関東
北関東では、ひな壇型のような独特な形の盆棚が使用され、マコモのゴザではなく金蘭どんすや白どんすを飾ることも多いようです。縄には、ほおずきと一緒に杉の葉を飾るのも特徴です。
東海地方
東海地方では、経木と呼ばれるお供え道具を利用することが多いようです。洗米皿と呼ばれる素焼きなどで作った器の上に経木を置き、お膳でごちそうを振る舞うように飾ります。オガラで作った箸を添え、仏様に向けて飾ります。
また、迎え火や送り火は一般的にはオガラを使って焚くことが多いのですが、東海地方では「たいまつ」と呼ばれるお盆用品を使うことが多いです。
神奈川県、東京近郊
神奈川県は、特に地域色が濃い盆棚飾りを行います。初盆には、かけ袋、白ぞうり、白扇子、麻ひも、笠と杖のセットを飾るのが特徴です。これらは、お施餓鬼供養法要の3日前までに、お寺へ届けなくてはならないという習慣があります。また、神奈川県では赤やピンクの盆花を飾ることがあったり、砂盛りと呼ばれる川砂を敷き詰めて線香や盆花を刺すものを飾ったりすることもあります。
九州
九州地方の一部では、送り火の際に精霊船と呼ばれる船を流す習慣があります。しかし、最近では川に流すこと自体禁止されている地域もあるため、盆棚飾りとして飾られることも多くなりました。
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新盆・初盆とそれ以外の飾り方の違い
新盆、初盆にだけ飾るものは白提灯です。新盆、初盆の盆棚は、白木で作られた白紋天(しろてんもん)の提灯で霊を迎えます。白提灯はお迎え提灯の役割を担い、はじめて帰ってくる霊が迷わないようにという意味で、盆の入りに灯します。また、清純無垢な白で迎えたいという意味も込められています。白提灯以外の盆飾りは毎年使えますので、盆棚はお好きなものを購入すればよいでしょう。
宗派別に違う新盆
新盆は宗派ごとに飾り方が異なる部分があるため、ご自分の宗派の作法を知っておく必要があります。ちなみに、前述した白提灯については、どの宗派でも共通です。
真言宗
真言宗では、精進料理をお供えするのが特徴です。箸と一緒に添えることで、そのまま食べられる状態にして供えるようにします。
浄土宗
浄土宗の盆棚は、小机にマコモのゴザを敷き、その上にお供え物を飾るのが一般的です。また、迎え火を行う際には、オガラを「井」の字の形に配置することも特徴の一つです。
新盆の家庭では、精進料理や故人の好物で親族や友人をもてなし供養するのが一般的です。一方、浄土宗では、お酒やタバコなどの嗜好品を供えることはしないという方もいらっしゃいます。
浄土真宗
浄土真宗では、盆棚にお供えを飾ったり、迎え火をしたりすることはありません。先祖は死後、仏様になるという、宗教上の理由があるからです。浄土真宗のお盆は阿弥陀如来への報恩の感謝をするという意味があります。
曹洞宗
曹洞宗は、基本的な新盆の飾り方で問題ないのですが、盆棚を白い布で覆うという点がほかの宗派と異なります。また、盆棚にお膳を飾るのですが、箸を仏様の方に向けて置くことが習慣です。
日蓮宗
日蓮宗では、仏壇の最上段の中央に日蓮大聖人像、最奥に曼荼羅をかけ、両脇に青竹を立てるのが特徴です。盆棚は仏壇の前に置かれます。
初盆の盆棚の飾り方
前述した通り、初盆、新盆にだけ飾るものは白提灯です。それ以外は、地域差はありますが、通常のお盆飾りと基本的には同じです。
マンションでの盆棚の飾り方
最近はマンション住まいの方も多いため、住宅事情にあった飾りつけを行う必要もあるかと思います。まず、机ですが折りたたみ式の小机などを利用すると、収納時場所を取らないので便利です。
収納ボックスや、段ボールなどで代用することもできます。上に白い布で覆えば、立派な盆棚になります。提灯は、30センチ程度の小型のものを選ぶとよいでしょう。
マンション住まいで最も悩ましいのが、迎え火、送り火だと思います。火を焚いてしまうと、ご近所の方に煙で迷惑をかけてしまったり、最悪の場合、火災報知機が作動してしまったりする可能性もあります。
そのため最近では、ベランダや火が周囲に燃え移らない場所に焙烙(ほうろく)と呼ばれる受け皿を置き、オガラを乗せて火をつける方法が一般的です。
ただし、オガラを入れ過ぎると火柱が立ってしまうこともありますので注意しましょう。
送り火は、先祖の霊が返る16日に行いますが、マンションによっては制約も多いため、送り盆ですぐに火を消してしまってよいかと思います。
盆棚飾りの片付け、処分方法
最後に、盆棚飾りを片付ける時期と、処分方法について説明します。
盆棚飾りを片付ける時期
お盆の期間は、8月13日~16日の4日間が一般的です。東京など関東圏の一部では7月13日~16日の4日間で行う地域もあります。従って、どちらの場合でも、16日の送り火の後、片付けを行うことになりますので、16日か17日以降が片付けはじめるタイミングとなります。ただし、15日が最終日という地域もありますので、あらかじめ確認しておきましょう。
処分方法
お供えものの処分方法については、食べられるものに関しては、傷まないうちにできるだけ早めに食べるとよいでしょう。キュウリとナスは燃えるゴミとして処分しますが、捨てる前に塩で清めて手を合わせておくとよいでしょう。
また、オガラも燃えるゴミとして処分できるのですが、火が消えていることを必ず確認してから捨てるようにしましょう。
白提灯は、本来お盆が終わったら燃やして処分していました。しかし、最近は困難な場合もあるため、一部に火をつけて燃やし、すぐに火を消すことで済ませることが多いようです。燃やした白提灯はゴミとして処分します。ちなみに、通常の提灯は捨てずに保管し、次の年も使用します。
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まとめ
家族や親戚などと共に、先祖の霊に思いを馳せるお盆は、日本人にとって大切な行事の一つです。地域や家族ごとに方法は異なります。
わからないこと、迷ったことなどは菩提寺や地域の仏壇仏具店に相談しましょう。
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