玉串奉奠とは

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玉串奉奠とは

玉串奉奠とは、神前に玉串をお供えする儀式のことです。玉串とは、榊の枝に麻紐で紙垂(しで)という特殊な断ち方をして折った紙を縛ったものです。榊には神様が宿ると言われています。

玉串奉奠の特徴は、神道の儀式であることです。神道の決まりにのっとったお通夜や葬儀の際に行われます。

神式葬儀と玉串奉奠

神道では、先祖の霊を祀る全ての行事のことを「祭」と言います。そのため、神式葬儀は神葬祭とも言います。

神式葬儀は、仏教が日本に伝わる以前から執り行われてきた、日本古来の祖先の霊を祀る行事です。反面、特定の儀式が広がったのではなく、日本各地にそれぞれ伝わってきた儀式がもとになっている儀式ですので、地域ごとにその習わしには違いがあります。

焼香と玉串奉奠の違い

仏式の場合、葬儀や法要などで焼香を行います。焼香は、お香を焚いて仏や死者を拝むことです。心と体の穢れを取除いて、清浄な心でお参りします。

神式の場合では、焼香は行いません。仏式の焼香にあたるものが、神式では玉串奉奠です。参列者は、玉串を祭壇に捧げて故人の冥福をお祈りします。

玉串奉奠の意味と由来

玉串は「古事記」の天の岩戸(あまのいわや)の隠れの神話に始まったものとされています。

「古事記」には、天照大御神の岩戸隠れの祭に、神々が行った祀りでは真榊に玉や鏡などをかけて天照大御神の出御を仰いだことが記されており、歴史が古いことがわかります。

名前の由来は諸説ありますが、江戸時代の国学者、本居宣長は、神前に手向けるという理由から「手向串(たむけぐし)」とし、供物の意味だと説いています。

同じく江戸時代の国学者である平田篤胤は、串に玉をつけたものであったため「玉串」と称したと述べています。

玉串は、神前にお供えする物として、米・酒・水・塩・魚・野菜・果物と同じ意味があると考えられています。これらの神饌(しんせん)と玉串の違いは、玉串は祭典の中で捧げて拝礼することです。捧げる人の気持ちが込められることによって、神と祀る人との仲立ちの役割をする供物であるのです。

神式葬儀(神葬祭)の流れ

神式葬儀(神葬祭)の流れ

1.帰幽奉告(きゆうほうこく)
訃報を聞くと仏教における仏壇にあたる神棚や祖霊舎(それいしゃ)に故人の死の奉告をします。その後、神棚や祖霊舎の扉は閉じて白い紙を張ります。

2.枕直しの儀
ご遺体に白い小袖を着せて、北枕にして寝かせます。そして、祭壇を設けて、仏教における枕飾りと同じようにお米や水、お酒などをお供えします。

3.納棺の儀
ご遺体を棺に納めます。白い布で覆い、拝礼します。

神葬祭1日目

1.通夜祭

仏教における通夜のことを通夜祭と言います。神職が祭詞(祝詞:のりと)を奏上します。通夜祭に参列する人は、玉串を奉ります。

2.遷霊祭

通夜祭とは別の儀式ですが、通夜際と遷霊祭を両方合わせて通夜祭と呼ぶこともあります。遷霊祭は故人の御霊を遺体から霊璽(れいじ)に遷すための儀式で。御霊遷し(みたまうつし)とも呼ばれています。葬儀会場の明かりを消して暗がりの中で行います。神職によって、故人の御霊を「仮霊舎(かりみたまや)」に納められます。 続いて玉串を捧げ、拝礼します。

神葬祭2日目

1.葬場祭

通夜際の翌日に行います。神葬祭のメインとなる儀式です。玉串奉奠は、この葬場祭で行われます。故人に別れを告げる最後の機会が葬場祭です。

2.火葬祭

神職が祭詞を奏上します。参列者は玉串を奉って拝礼します。火葬の前に火葬場で行われます。

3.埋葬祭

遺骨をお墓に納めて、銘旗と呼ばれる故人の名前や職名などが記された旗や花をお供えします。

4.帰家祭

自宅に戻って、塩や手水(ちょうず)でお清めをします。霊前に無事神葬祭が終わったことを奉告します。その後、神職やお世話になった人などを招き宴を行います。これを直会(なおらい)と言います。

玉串奉奠の作法とは

玉串奉奠の手順をご紹介します。

1. 斎主に一礼し、玉串は、右手で根元を上からつまみ、左手で枝先を下から支えるようにして受け取ります。

2. 受け取った形のまま玉串を目の高さまでおしいただきます。玉串の根元が手前に来るように右回り(時計回り)に90°回転させます。

3. 左手を枝先に移動して、持ち手を変えます。

4. 玉串を180°水平に回して根元を祭壇に向けて、玉串を玉串案と呼ばれる台に置きます。

5.数歩下がって、しのび手(音をたてないで二礼二拍手一礼を行う。遺族に一礼してから下がる。

家庭での神棚の祀り方


玉串奉奠は、神道における儀式の際に行われますが、家庭での神棚の取り扱い方は以下の記事にまとめています。

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まとめ