お客さんと一緒に仏壇を選ぶ
児玉店主が販売姿勢としている「お客さんの立場になって、一緒に仏壇を選びます」というのは、こういう意味です。仏壇屋さんは、本物志向が強い人が多いので、材質や造りなどがいい仏壇、高価な仏壇を勧めようとする傾向があります。しかし、児玉店主は「この仏壇は、職人が造るのに非常に時間がかかりました、ここが難しかったのですなどと説明しても、ひと言で打ち消される場合もあります。お客さんから、いくらいい仏壇と言っても、ここのところがお掃除がしにくいので、こういうのは駄目よ、と奥様などから言われてしまえばそれまでです」と言います。だから、接客ではまず、お客さんの要望をよく把握することに努めているそうです。
とは言え、「お客さんにより、お客さんの言いなりにもならない」ようにしているとも言います。仏壇は長く使うものであり、「お客さんが選ばれるものが、あまり長持ちしないようなものであって、あとで後悔されるようでは販売した当店の責任にもなりますので、長持ちするものをお勧めするのが仏壇屋の役目」という考え方からです。その際、遺族の故人に対する思いの強弱などには留意しているそうです。「故人に対する思いが強いご遺族は、故人にふさわしい仏壇を選ばれようとされますので、こちらからのアドバイスも良く聞いていただけますが、思いが弱いご遺族などは、ご自分達の考え方で選ばれようとされる傾向がありますので、こちらからはあまりお勧めしないように気をつけている」のだそうです。
49日以降のことは仏壇屋の役割
児玉店主は、仏壇を売りっぱなしにはせず、アフターフォローにも力を入れています。「地方では、仏壇屋と葬儀屋が一緒になっているケースが多いですが、首都圏、特に東京地区は、葬儀屋さんが仏壇まで扱っているケースは少ないし、扱っていても仏壇の数が少なかったりします。49日頃以降の法事や仏事に関することは、われわれ仏壇屋の方が詳しいので、それらをお客さんにお伝えしていくのが仏壇屋の役割ですし、それが葬儀屋さんとの違いでもあります」と児玉店主。こうした考えから、仏壇を購入されたお客さんには必ず、「法事や仏事のことで分らないことがありましたら、お気軽にご一報下さい。私が分らないことは、お寺さんに聞いてご報告します」などと伝えているそうです。その結果、お布施の額や49日などの法事毎に必要なものなど、問い合わせが多く寄せられていると言います。
同店が地域に根付いているのは、こうしてお客さんに親身に接してきたところにあるようであり、「今後も、かかりつけの街医者さんのように、法事や仏事に関するかかりつけの仏壇屋と言われることを目指していきます」と児玉店主は語っています。
|